『ごめんね。』
 
 
 
 夢だと、思いたかった。
 
 
 きらきらと。
 散って行く、電子のかけら。
 
 角が。しっぽが。
 かすかな音をたてて、崩れて。
 
 たてがみが。爪先が。
 舞い上がる、銀の粉。
 
 
 あのこたちだったものが、消えて行く―――――――――
 
 
 
 約束、したのに。
 彼らと、約束した、のに。
 
 帰ってくるまで、守るって……。
 
 
 
「エリス! お疲れ様!」
 
 そんなこと言わないで。
 
「がんばってくれてサンキュ、エリス!」
 
 あたしは、なにもしてない。
 
 頑張ったのは、あのこたち。そして、あんたたち。
 たすけたのは、髪の長い、あの娘。
 
 ……あたしは、なんにも、できてない。
 
 
 
 ふわりと、頬をかすめるもの。
「ユニコーン……レオ……」
 ちっちゃな半透明の首をこすりつけてくる、二匹。
 チリチリした電気的な、でも確かにそこにある、感触。
 
 
 それが、嬉しくて、哀しくて。
 
 
「ごめんね……」
 
 
 
 そうして。
 あたしは、少しだけ……泣いた。
 
 
 
fin.

暗い……。
 
デジアドのBBSにちらって書いたんですけど、あのデータが散って行くところで、あちらの世界の彼らの死と同じだなあ、と。
あのときのエリスの叫び、……頭から離れない。
 
本来は、復活して、輝刃が出てきて、わーよかったね、って話、なんですけど……。
思考回路がなんか後ろ向きだよなあ。
 
次の話見たら書けなくなりそうだったんで。

2001.2.19